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FacetimeはZOOMやTeamsを代替できるか? WWDC2021内容を検証。【結論:できそう】

2021年06月10日 2022年01月23日

2021年6月8日(火)AM2:00にAppleの技術者向けカンファレンスWWDC2021がスタート。キーノート(基調講演)ではソフトウェア関連の様々は発表がされました。

このコロナ時代置いて浸透したオンライン上コミュニケーションについて特に力を入れてきた感があります。
既存アプリでいうところのFacetime、メッセージアプリ。このあたりですね。

今回の発表でビデオ通話アプリFacetimeの機能強化の発表がありました。
大幅な機能強化で、同様のオンライン通話アプリZOOMやTeams、Google Meetsに寄せた機能が増えています。

そこで言われているのが「ZOOM終わった」とか「Teamsいらなくなりそう」といったことです。

はたしてそうでしょうか?

今回は発表の内容を振り返りつつ、Facetimeがビデオ会議ツールとして本当に使えるものになりそうか分かる範囲で検証してみたいと思います。

Facetimeのアップデートで強化される機能

1. Apple TVや音楽、画面をFacetimeを介して共有できる。

SharePlay と呼ばれるものみたいです。まるで複数人が同じ空間にいるような気分でエンターテイメントコンテンツを共有できる機能です。
画面全体の共有もできるようです。アプリ単位で共有することもできるし、デスクトップ画面全体で共有もできるようです。
これは大きいですね。Web会議の場合自分のPCの資料を共有しながら説明することが多いですから。

画面全体、もしくはアプリ単位で画面を共有可能。(Appleのサイトより)
Apple TVの視聴を共有できる(Appleのサイトより)

2. 画面上の位置と対応した複数方向から声が聞こえる。

空間オーディオ機能を活用したものですね。
これはAppleならではですね。既存のビデオ会議ツールには無い独自部分です。
実際体験してみないとなんとも言えないですが、リアルの会話を擬似体験できるようなレベルのものなのか気になります。でも新しい体験ができそうという点で期待です。

空間オーディオで複数方向から声が?(Appleのサイトより)

3. 会話のノイズを除去できる。

これもAppleならではの独自機能です。
背景の雑音をプログラム的な処理で除去しクリアな声だけを抽出して届ける、ということができるようです。すごいですね。

4. 参加者はタイル状に表示される。

ビデオ会議ではお馴染みの画面レイアウトです。
そして発話している人は自動的にハイライトされます。
これは特に目新しい機能ではないですね。ZOOMとかでも実装されているものです。画面共有をしているとき、その画面と参加者表示画面は切り離されているので参加者表示のレイアウトでたくさんのバリエーションがあるわけではなさそうです。

タイル状に参加者を表示(Appleのサイトより)

5. 人物の背景をぼかせる。

iPhoneの写真で使える「ポートレートモード」的なことがFacetimeでも実現できるようです。要は人の輪郭をプログラム的に識別し、その背景部分をぼかしてくれます。ZOOMには実装されている機能ですね。

ZOOMだと輪郭処理が甘いところもあるので、Facetimeでどの程度自然に背景ボケができるのか気になります。
わたしはZOOM会議するときは背景ボケの画面処理を設定していますが、便利ですね。ビデオ会議の際、自分の部屋の背景にあるものって見られたくないですから。

iPhoneのポートレートモードがFacetimeにも(Appleのサイトより)

6. 会議にURLを設定して共有できる。

会議にURLを設定して共有できます。ビジネスで会議の時間設定をあらかじめしておける、ということです。作成したURLはカレンダーアプリにも自動反映させることもできるようです。

7. Androidユーザー、Windowsユーザーも参加できる。

Webブラウザを介して、Androidユーザー、WindowsユーザーもFacetime通話に参加できます。これは大きいですね。FacetimeはAppleのデバイスユーザーしか使えないこれまでの現状は、Facetimeの利用が進みにくい大きい要因と思われます。Windowを使っているユーザーも参加できるわけですからビジネス利用も問題なさそうです。

Windows、Androidにも対応(Appleのサイトより)

Apple関連のニュースを発信しているメディア9to5Macで、ブラウザで動くFacetimeのベータ版の画像がアップされていたので紹介しておきます。

Hands-on: Here’s a first look at how FaceTime works in a web browser

カメラやマイクの入力設定が可能。(9to5Macより)
招待された人は名前の入力が必要(9to5Macより)
オンラインミーティング中の画面。参加者はミー文字を使える模様。(9to5Macより)

Facetimeに機能実装されるか怪しいもの。

1. 会議のレコーディング機能

これは是非ほしい機能です。
ビジネスの会議においては、会議の模様をビデオファイルに保存しておいて、あとで見返しながら議事録をまとめることがあります。
これまでは以前紹介したQuicktime Playerの「画面収録」機能を使えば記録そのものはできるのですが、現バージョンのFacetimeアプリ単体で動画記録は出来ません。

新しいFacetimeでそれが出来るかどうか、WWDC2021の発表の中からは確実にはわかりませんでした。

ただ、以下の画面で気になるUIの表示があります。
Androidのスマホの下部に表示されたこのUI。これ、AppleのUIのルールでいうと録画ボタンだと思うのですよね。MacやiPad、iPhoneではこのボタンが見当たらないので確実なことはわからないですが、機能としてはありそう、、という印象です。

会議の録画もできる?(Appleのサイトより)

2. ホワイトボード機能

ホワイトボード機能は是非ほしいですが、これは全く不明です。
ホワイトボード機能は文字通り、フリーで書き込めるホワイトボードを共有できる機能でZOOMにはあります。ZOOMではApple Pencilにも対応しています。
ただ、ZOOMのホワイトボード機能におけるApple Pencilの書き心地はお世辞にも良いものとは言えません。筆圧感知をしすぎるのか、シャープなラインが引けず、遅延もあります。iPadのFacetimeでは是非実装してほしい機能です。

Facetimeではアプリ個別の画面共有が可能ということなので、iPadのノートアプリを画面共有すればやれそうな気はします。ただ、理想はオンラインで会議参加者に共有されたFacetime独自のホワイトボードがあり、参加者全員が同時に自由に書き込めると最高なのですけどね。さすがにそこまではなさそうな印象です。

3. 待機ルーム機能

待機ルーム的なものがあるかどうは不明です。

ZOOMだと会議ホストが会話ルームへ入室許可をしたり、ホストが会議を始めてなくても待機ルームに入れたりできます。また、「待機ルームに人がいるのでホストの方、会議を開始してくださーい。」というメール通知を飛ばすことができたりします。

ホストが参加してないと会話を始められないということだとちょっと不便かもです。推測ですが、、ホストという概念がFacetimeには無いのでは?と想像してます。

4. チャット機能

会議をしながら、例えばビデオ会議に内蔵されたチャット機能を使ってWebサイトのURLを送ったり、「次の予定があるので退室しますね」といったメッセージを送ることがあります。FacetimeにはそのようなUIが見当たりません。どこかに隠れているのかもしれませんが、あると便利ではあります。

Facetimeは大幅に機能向上。プライベート利用は十分だがビジネス利用は未知数。

Facetimeの大幅な機能向上は嬉しいところです。
これまでFacetimeというと「電話の拡張」程度の印象であまり使っていませんでした。

今回、Apple製のアプリではなくてもブラウザを介してWindowsやAndroidユーザーも通話に参加できるようになったのは大きいです。

これまでFacetimeはAppleデバイスユーザーの専売特許だったので、コミュニケーションを取りたい相手の所有端末でコミュニケーション形態が変わっていたわけです。

これからは、誰でもFacetime通話ができる、というのはよりビデオでの会話が一般的になるきっかけになるかもしれません。

個人向けにおいては手軽なエンターテイメントの共有など、手軽さ、UIの美しさ、セキュリティ、空間オーディオ、これらのメリットが組み合わり、一気に利用者が増える可能性を感じました。特に今、このご時世ですからね。コロナの影響が少なくなったとしてもしばらくは自宅でのエンターテイメントは重視されると思います。

一方ビジネスシーンにおいては、ZOOMやTeamsをすぐに駆逐するほどのものではないかも、、とは思います。

ただ、試してはみたいと思いますね。Appleならではの手軽さ、UIの使いやすさ、といったところは魅力ですから。おそらく使えるようになるのは2021年10月とか11月になるのではと思いますが、気長に待ちたいと思います。