Webサイトリニューアルの理由9選。Webサイトオーナーの切実なお悩み。
webサイトの制作・コンサルティングに関わってきて、早いもので、もう20年近くなる。
その中で様々な相談を受けてきた。長いお付き合いの中でサイト運用の中で受ける相談。新規にサイトリニューアルをしたいということで会社の問い合わせフォームから相談を受けるパターン。
もちろんその企業独自の課題というものはあるが、どんなに大きい規模のクライアントでも意外とそこでお持ちの課題というものは、ビジネス成果につなげたい、というざっくりしたものであることが多い。
今回は、その相談というものは、だいたいこれくらいに大別されそうというものをピックアップして紹介したいと思います。
1. もっとビジネス活用したい。ビジネス成果につなげたい。相談に乗って欲しい。
「現状のサイトは、ただ会社案内のパンフレットをホームページ化しただけのもの。もっと活用して営業マンとしての役割を果たすwebサイトにしたい。」というものから、すでに細かく課題とゴール、それを計測するためのKPIまで設定されており、それらすべてに解決法を求められるケースまで。このような理由は、大なり小なり、必ず含まれてくる。
基本的な対応方針
この場合は、綿密にクライアント企業からヒアリングを行い課題抽出から始める。その他競合分析、アクセスログ分析とあわせて提案を行う。1点難しいポイントとして、クライアント企業から費用対効果について、数値的なものを求められることもあるが、そこはなかなか難しいところ。課題の解決法は提示するが、それでいくら売り上げアップするか、集客数が何%アップするかという具体的数値はお約束は難しく、そこはリニューアルの前後比較と傾向分析で継続的に見ていくことが必要と考える。
2. スマートフォンやタブレットに対応したい。
今やスマホ対応、タブレット対応は当たり前になっているが、いまだに全くスマホ対応されていない、もしくは一部分しかスマホ対応されていないという企業サイトは意外に多いもの。Googleのサイト評価でもスマホ対応は重視すると言われていることはご認識のケースも多く、「スマホ対応含めてこの際リニューアルを。」と言われる企業は多い。
基本的な対応方針
今は、スマホ対応というと、PC用のページ、スマホ用のページと別々に作るのではなく、1つのページとして作り、そのコードの中でPC時の表示とスマホ時の表示切り替えを定義する、レスポンシブデザインという実装方法で対応する。
これは、サイト全体のコーディング仕様に影響するので、比較的サイトリニューアルにしましょう、という話に繋がることが多い。
3. 今の制作会社の対応が悪い、体制を変えるのに合わせてリニューアルしたい。
何かしらwebサイトを更新するにあたっては、webサイトを構築した制作会社との関わりは継続するものだが、規模の小さすぎる制作会社等、運用更新に手が回らず、依頼を出しても1週間音沙汰なく、連絡取れない。それだと困るので連絡が取れる制作会社に乗り換えたい。これを機に、サイトリニューアルもやってしまいたい、というようなケース。
これは、最初の現行サイトのリニューアルを金額のやすさに目がくらんで、半端な制作会社に依頼してしまうと起こりやすいケースのように思う。
基本的な対応方針
この場合は、最初にプロジェクト計画を立て、リニューアル後の保守プランもあわせて提示すること、あとは契約書で瑕疵期間等も明記しておくことも双方にとって大事だと思う。
4. 更新性を高めたい。
CMSが導入されていないので入れたい。どう更新して良いか分からない。更新そのものが面倒、今のwebサイトを更新するCMSの管理画面のアクセス方法を退職した前任の担当者しか把握しておらず手が付けられない、といったちょっと信じがたいケースも。
基本的な対応方針
CMSについては、まず、どこの更新頻度が高いかを把握し、CMSでの更新箇所を定めること、また集客用のオウンドメディアなどを構築する場合は、そのコンテンツの運用体制が取れるのかどうか、といったことをポイントに考える。CMSに何を使うか、ということは、どこに重きを置くかで選定する。セキュリティ重視であれば、静的CMSであるwebRelease2やPowerCMS、価格重視
・汎用性重視であれば、 WordPressを提案することが多い。
5. 時代に即したデザインにしたい。
リニューアルする場合に挙げられる課題に、ほぼこれは必ず含まれる。
「見た目を変えたい。」というご相談はそれなりに多い。
とにかくダサい、ブラウザにより表示が崩れる、文字が小さすぎる。など。
個人的には、最近であれば、webサイトの基本となるデザイン文法のようなものは固まってきており、どの制作会社に依頼してもそれなりに整ったセンスの良いデザインにはしてくれるはず。
基本的な対応方針
これまでの制作実績や、参考となるサイトのデザインなどからイメージボードを作成したり、ブランドポジショニングマップを作成したり、あらかじめイメージをすりあわせてから進めることが多いように思う。
6. 集客したい。もっと見て欲しい。
もしかしたらSEOのコンサル会社などからアドバイスを受けてのリニューアル、という流れかもしれない。
webサイトリニューアルを行う場合、クライアント企業から事前資料的なものをいただくことがあるが、その資料に、
アクセスログ分析資料、SEO課題分析資料のようなものをすでにお持ちというケースがある。
SEO課題は、リニューアルをせずとも既存サイトを改修していくことで解決できることもあるが、対応項目が多いと「リニューアルした方が早いし、安く済みますね。」となるケースは多いように思う。
基本的な対応方針
一般的なSEO対策を行いつつ、いずれにせよ、ユーザーの課題解決や、ユーザーニーズにマッチするコンテンツがあるのかどうかという視点で、検討する。技術的なSEO対策さえすれば集客できると勘違いしているクライアントもそれなりに多い。集客の最大のポイントは「コンテンツである」と強く言いたい。
7. ブランディングを確立したい、競合他社と差別化したい。
提供するサービス価値そのものをクライアント企業の中で、見直し、情報そのものを刷新したいので、この機会にリニューアルもやってしまいたい、というケースも少数だがある。
新型コロナウィルスの影響で、リモートワークや業務のオンライン化が進み、自社のブランディングそのものを見直さないと、埋もれてしまう、価値の訴求ができない、とお考えになり、早く手を打ちたい、ということで相談を受ける機会もある。
基本的な対応方針
この場合、クライアント企業が何を訴求するのかによるので、企業側のサービスデザインそのものに介入することはできない。
基本的には、新たな訴求すべき情報を元に、上記でも記載した、分析などを通してサイト設計を行うことになる。
8. セキュリティ要件を見たし、可用性の高いwebサイトとして運営していきたい。
webサイトを運営しているサーバに問題はないか、例えば、直下型の大地震が起きた時に、サイトが公開できないというような状態にならないか。「事業継続(BCP)のためのディザスタリカバリ(DR)を検討して欲しい。」というような相談を受けることもある。企業によっては、サイトの停止そのものが企業の信頼や利益に直結するケースするため、最近このあたりを気にする企業もそれなりに増えてきたと思う。あとはセキュリティやサーバのパフォーマンスについて問題ないか、、など。
基本的な対応方針
このあたりは、私が関わる場合ケースにおいては、専門性高いため、インフラ専門の会社と組んで対応することがほとんど。
ただ、一般的に、どういうリスクがあり、どういう対応を行うことが多いか、ということの把握はした上でクライアント企業と対話に臨む。
9. とにかくよく分からない。相談したい。
そもそもwebサイトについて全くリテラシーがなく、どうしていいか分からない、というクライアントも一定数いる。
リニューアルってどう進むのか、何を準備しないといけないのか、どれくらいの期間が必要で、どのくらいのコストがかかるものなのか、リニューアルしてどういういいことがあるのか全く分からない。という相談レベルからリニューアルにつながるケースも一定数ある。
基本的な対応方針
このような場合は、とにもかくにもまずはヒアリング。何を価値として提供している会社なのか、今どのようにwebサイトを活用していて、どんな成果を求めるのか。予算はいかほどか。アドバイスもさせていただきつつ意見交換するなかで、今後の方向性を模索する。
まとめ
今回は自分がプロデューサーとして体感しているコーポレートサイトリニューアルに至ったきっかけ、理由のよくあるもの9選をお知らせしました。概ねこれのどれか1つ、もしくはこれらを組み合わせた複数の理由を挙げられることもあります。いずれにせよこのような課題に触れ、私のようなwebプロデューサーができることはそれらについての解決法を最適な形で提供することだけです。これらの課題は、ある程度対応がパターン化できているものもありますし、分析などを通して、クライアント企業独自の課題解決法を時間をかけて模索するものもあります。時間をかけて模索するものについて共通して言えることは、クライアント企業のビジネス理解がある程度深いレベルで求められるということ。
webプロデューサーの役割は、利益をあげること、とシンプルに考える向きもありますが、その本質はwebサイトを通したクライアントビジネスのトータルコンサルティングにあると思っています。
単にパッケージ化されたサービスを提供する、というものではないというところが難しいところです。